ひまわり

目の前に壁が立ちはだかる
意識の外にはもう出られない
今いる場所を受け入れる


空気のように染み込んで
捕まえる度にいなくなる
正体ない不安が広がる
瞬く間に噂が流れる
この街も長く暮らせない
どの街にも長く暮らせない
ドーナッツの穴の中にいる
どうにもならぬ悪夢迫る


吸い込む楽しみ奪われて
吐き出す権利を買おうとした
あのまがい物の数式が
今度は俺たちに降り注ぐ
少しづつ蓄えられる
金属疲労のひび割れに
猫の額の軒先に
ノックする扉の向こうに


隣り合わせの生と死が
生き写しの過去と未来が
交差するそこは通過点
放棄しない東電に目が点
戻りたくてももう戻れない
帰りたい場所は分からない
平等に降り積もる最後
生きる目的捨て去る迷子


なかったことにしてしまおう
起こらなかったことにしてしまおう
目を閉じて蓋をしてしまおう
焼き付けた光景を燃やそう
目の前は包まれている
いま
窓の外は包まれている
いま
踏み出すことを躊躇する
いま
振り出す雨に蝕まれる
いま
いま
いま
いま


ひまわり ひまわり
ひまわり ひまわり
ひまわり ひまわり
ひまわり ひまわり


ゆっくりと吸収してゆく
効果の程はまるで未知数
すがる者も今はもう皆無
ただそこにずっと生えている
銃口に刺されるがごとく
荒れた大地に咲き乱れる
見た目は決して悪くない
悪くない 悪くない


ゆっくりと吸収していく
効果の程はまるで未知数
黄色い花が散っていく
種は落とされ深く沈む
歳月を経て芽を出すまで
この土地に顔を出すまで
四季は流れ風は巡る
雪はつもる川に溶ける


洗い流すことはできない
金属疲労のひび割れに
猫の額の軒先に
ノックする扉の向こうに
隣り合わせの生と死が
生き写しの過去と未来が
交差するそこは通過点
抗議しない視聴者に目が点


空気のように染み込んで
捕まえる度にいなくなる
正体ない不安が広がる
瞬く間に噂が流れる
人を磁石のように放して
人を磁石のようにはがして
搾取していく人生ゲーム
爆発する人間の誇り


人を磁石のように放すな
人を磁石のようにはがすな
吸い込んでも 
吸い込んでも
吸い込んでも
吸い込んでも
したたかに咲き乱れる
種は落とされ深く沈む
歳月を経て芽を出すまで
この土地に顔を出すまで
四季は流れ風は巡る
雪はつもる川に溶ける