WORDS GOES ON


動画はラストを締めくくった後藤理絵の新作「マグネット」
くっついてもくっついても 溶け合うことのない プラスマイナス


9月23日夕方から夜の入口へ向かった濃密な言葉
Dis-le Dis-le2 無事に終了いたしました。
お越しいただいた皆様、出演いただいた皆様
リエゾンカフェのスタッフの皆様、
そして、気にかけていただいていた全ての方に
御礼申し上げます。
本当にありがとうございました!


オーガナイザー的な見地から、感想を申し上げますと
非常に素晴らしかったと思ってます。珍しく自画自賛
リエゾンという場所、あの空間と
それぞれの出演者の個性、その順番の流れ。
朗読者や、音楽者といった様々な人たちが入り混じった
空間の雰囲気。
そして、それを繋いだDJ Muraiの音楽。
想像していた空間が現出し、さらにその先を越えていった。
こういう様々なタイミングが合わさるミラクルは、
そうそう生まれる物じゃない。
何一つ欠けても、成り立たない。
あの雑多な、しかし確実にひとつの筋が入っていた空間は
不思議なことに、自分が嘗て催していたクラブパーティー
雰囲気によく似ていました。
やっぱ、俺変わってないんだな。同じ人間だからな。


さて、これまた珍しいですが今後への参考の意味でも
個々のプレイについて思ったことを簡単にまとめておきます。


uraocb


この人は、驚くくらい焦っていたと思う。
言葉のリズムがかなり早く、一本調子になりやすく
声も甲高くなっていた。
緊張しているつもりはなかったんだが
やはり30分、というミッションについて
まだまだ努力と精進が必要だなと感じた。
その分、あいつ何か必死になってるよ感は
伝わったのかもしれないし、
実際伝えたかったことを、30分しゃべり倒した。
好意的な感想も色々な方からいただいた。
だけど、これが通用するのはこの一回限りだ。
少なくとも音楽的ではなかったと思う。
スポークンワーズに必要なリズム、そして緩急。
声の抑揚。それらを今一度練り直す必要があるし
30分、あるいは1時間を魅せるような
ミッションを課す必要がある。
キャリアの違いとか、そういうことはもう言わない。
言葉とパフォーマンスを、また高めて戻ってきます。


田中光 & MASAYA YONEYAMA


uraocbが開墾した田畑を、見事に耕して
水を引いて返すような、そんな30分だった。
長年の経験によって培われた技術が証明する
MCとスクラッチ、そしてフリートーク
むしろ我々30代後半の世代が涙を流すような
シンプルでストロングなヒップホップ。
スムーズかつエレガントな姿勢を保ちつつも
自分たちの世界へ聞き手を染めていく
その光景は、さりげなかっただけに
なおのこと、強く印象に残った。
澱みなく、ブレず、一定のグルーヴを持って
機能していく音と言葉。
以前一度ライヴを見た時はヒートアップ場面も数多く、
この形でやっても全然問題ないよ、
と光君には伝えていたのだけど
終わってみれば、2番手という立ち位置で
ラストにバトンを受け渡すという
役割を十分に理解したパフォーマンス。
プロフェッショナルだった。
おそらく彼らは、これから先
大きな存在になっていくだろう。
共演できたことを、嬉しく思います。


後藤理


この人と出会ってから1年くらいしか経っていないが
かなりの数パフォーマンスを見てきた。
そして、まとまった時間のパフォーマンスとしては
今まで自分が見た中ではこの日がベストだと思った。
音楽の選択、ライヴ全般を通した構成、田中光とのコラボレーション
最後まで力尽きることなく、走りすぎることなく
言葉を力強く残していった。
そのうちの二つが、二日前に書き上げた物であったという
事実にも驚く限りだ。
今の東京で、この状況で何某かの言葉を持つ、ということは
どうあっても意味を持つこと、その覚悟を必要とすることで
(少なくとも、俺の周りにいる人たちはそう考えています)
ギリギリのところで研ぎ澄まして、マイクを握っている。
俺も相当その意識を持って臨んだつもりだったけど、
この日の後藤理絵には、鬼気迫るものを感じた。
しかし、その言葉は以前よりもっと外側に向いていて
開放されること、受け止めてもらうことを望んでいた。
それは、明らかな変化ではなかったろうか。
少なくとも俺はそう思ったし、決意に満ちたラストによって
ディルディルは、生の感覚に満ち溢れて終幕した。


DJ Murai


隠れた、ではなくてこの日のMVPは
彼だったと思う。
言葉が主体になるイベントでの転換DJという
一番難しい役割を引き受けてくれて、
しかも、しっかりと音楽とリエゾンの空間を
繋ぎながら、クラブミュージックをプレイしていく
困難さは、俺が良く知っている。
それが彼ならできると思ったので
お願いしたのだけど。
DJには、色々なタイプがいて
自分の我というよりは空間との調和を
考えながら、そこにどのように個性を
乗せていくのかを考える。
彼はそれができるバランス感覚と技術に
長けた人だ。
彼のDJによって知らないうちにでも
空間の雰囲気がよりアップライトになっていく。
その光景が音楽のマジックだった。
観ててワクワクしてた。


http://www.liaison-cafe.com/?p=1229


リエゾンカフェに、
当日の模様を掲載していただきました。
勿論、リエゾンの素晴らしい食事、あの空間が
無ければディルディルの世界は成り立たない。
俺やムライ君といった当日のスタッフと
リエゾンの人たちには、
実はリエゾンがオープンする前からクラブを通して
繋がりがあったりして、あの日はそういうことを
含めて、個人的にはひとつの記念になりました。


さあ、Dis-le Disle2の話は、一旦ここでおしまい。
次に踏み出します!


限りなくないに等しい可能性が
それでも失われない限りは 
俺たちの言葉は決して失われない。