その乗り物に 乗れ

9/19 ぽえとりー劇場@BEN’S CAFE


大島健夫さんのライヴもあり
初めてぽえとりー劇場へ。
ベンズカフェに来るのも、およそ1年振り。
あの時は知人もいなくて、ひとりポツンと座っていた。
緊張感で押しつぶされそうになっていた。
それから1年経っても、ベンズカフェで読むのは
難しいなあ、と思う。
物理的にカフェなので照明が明るかったり
絶えず食器の音がするとか、あるけれど。
それは、きっとおそらく
そういうことではないのだろうと、思う。
この場所には、やはり読む者を見つめている
こちらからは見えない何某かの力が
宿っている気がしてならない。


それでも、この日は
服部剛さんの結婚報告ということもあって
服部さんの旧知の方、初めて参加する方
様々な人達が読まれていた。
大島さんのライヴは「蛇」で、
ライヴで初めて聴くことができて、嬉しかった。
CDで聴いていた乾いた世界が、目の前に広がっていく。


http://blog.goo.ne.jp/islander-works/e/964094e143248b5bd96b8c297304dba4


このCDについては、書きたいことが
山程あるのですがまた別の機会に。
そういえば、1年前のあの時、ベンズで今村知晃さんから
買ったのだった。これが始まり。


他の方のプレイも
印象的なものが多かった。
我らが後藤理絵と猫道は、それがベンズであっても
どの場所にいても空間を支配することができる。
猫道さんが服部剛をカバーしながら、
この日のために仙台からやってきた詩人と
キャッチボールしている。
何度も見てきた光景だけど、
ラクルが今日も目の前を通った。


個人的には佐藤銀猫さんが素晴らしかった。
シンプルな言葉と、音楽で紡いでいく、
世界を、抑揚を持った声が伝えていく。
そのバランスがとてつもなく素晴らしかった。
これもまた、スポークンワーズだなと思った。
ジャンルではない。音と声と言葉が溶け合って
等しく結ばれて 新しく生まれ変わる空間
何度も 何度も


9/24 詩のボクシング東京大会@大井町きゅりあん小ホール


会場に着いた時には既に1回戦は終わりに近付いていた。
第1試合は、猫道さんと大河原忠蔵さん!だったという。
何だその戦い!超見たかった……


優勝は晴居彗星さん。
全国大会チャンピオンの肩書きを持つ人が
もう一度同じ舞台の予選に上がり
結果を残す。
短い期間で、色々な場所で晴居さんを
見たのだが、やはりこのリングの上での
佇まいは一味違った。
ご本人もそうなのだけど、
晴居さんの試合は判定が僅差で、
どれも好勝負だった。
晴居さんの構築された世界に対戦相手が
化学反応を起こしていく。
これが詩ボクなのだな、と思いつつ。


印象に残った出場者がいた
三重で活動されているae96 nick truly氏


http://ae96.nonroof.com/


特に、準決勝でのプレイが素晴らしかった
彼が準決勝で披露したのは、ヒップホップにも近い
フルコンタクトのスポークンワーズだった。
その肉体を伴う方法論、世界観に引き寄せされる。


だが、それは
年齢層の幅が広い詩ボクの場で、必ずしも得策ではない。
全国大会にも出場されてるし
スキルと経験を十分にお持ちの方とお見受けしたので、
そのことは彼本人が一番良く知っていたはずだ。
それでも、彼はやり切った。
舞台や審査のためではなく、
おそらく本当に表現したい流儀を、彼は貫いた。
そのことが印象的だった。
結果的には敗退してしまったが、
彼のステージで、色々なことを考え
打ち上げの席でもそのことを話していた。


世代、という言葉で区切って良いものではないけれど
それでも見えてくる物がある。
そして何より、選択するスタイルがある。
ある方々にとって、それは受け入れ難い部分も
ひょっとしたらあるのかもしれない。
それでも、自分が通ってきた文化は
吸収してきた風景
それらは避けて通ることはできないし
曲げることは、あってはならない。
大袈裟な言い方をするならば、
運命に 従う。